泳ぎの無駄の無さを数値で表す指標として,推進効率という量があります.
推進効率は,船舶工学や,魚やイルカなどの生物の泳ぎを評価するときなどにも用いられています.
推進効率は,式で書くと以下のようになります.
(推進効率)=(推進力)×(泳ぎの速さ)/(泳ぐのに必要なパワー)
つまり,同じ推進力を生み出して,同じ泳ぎの速さで泳ぐときに,
泳ぐのに使われるパワー(一定時間あたりのエネルギー)が少なければ少ないほど,
推進効率は高くなります.
感覚的に言えば,
私達が泳いでいて,「あ,今なんか楽にすーっと泳げるな」と感じるときがありますが,これが推進効率が高い状態と考えてよいでしょう.
「スイム?スワム?スワム!」では,推進効率は「エネルギーの効率」
として表示されています.
では「スイム?スワム?スワム!」を使って,4泳法の推進効率の比較をしてみましょう.
それぞれの泳法を呼び出したら,
「エネルギーの効率」を読み取ってメモしてみましょう.
どうでしょうか?
平泳ぎ以外の3つの泳法,つまり,クロール,背泳ぎ,バタフライは,
どれも20%前後であることがわかると思います.
これは,基本的に,この3泳法が同じような動作であるためと考えられます.
つまり,腕を大きく回して水をかいて(押して),足はバタ足です.
やや乱暴な言い方をすれば,クロールをひっくり返したのが背泳ぎですし,
クロールの手足の動きを左右対称にしたのがバタフライと考えられます.
一方,平泳ぎだけは他の3泳法よりずっと低い値となりました.
これは意外な気がするかもしれません.
平泳ぎはのんびり泳ぐことに適していますから,推進効率は高そうに思えます.
しかし推進効率は,あくまで,同じ泳ぎの速さで泳ぐときにエネルギーが多いか少ないかです.
つまり,同じ泳ぎの速さで泳ごうと思ったら,平泳ぎよりクロールの方が楽ということですね.
ちなみに,この推進効率,例えばスクリューで進む船では40~65%程度です.
魚やイルカなどの生物の泳ぎでも,40~70%程度と言われています.
人間の泳ぎの推進効率は,これらに比べると低いですが,
進むことだけのために作られたスクリューや,
効率よく泳ぐために進化した生物に比べると,
人間の泳ぎは,手をぐるぐる回したり,足をバタバタさせたりと,ずいぶんと不恰好です.
そのため,20%ぐらいにしかならないことはしょうがないと言えるでしょう.