平泳ぎはクロールとはかなり異なる泳ぎ方であることを見てきました.
そのため,スイマーの体に求められる能力も,平泳ぎでは異なってきます.
クロールの足の推進力の項で見たように,クロールでは,足首がぴんと伸びきるような
関節のやわらかさが大切でした.
一方,平泳ぎでは,キックの際に,足の内側でしっかり水をとらえられるような
関節のやわらかさが重要となります.
では「スイム?スワム!スワム!」を使って,具体的に見てみましょう.
ソフトを起動して平泳ぎを呼び出し,
「じょうけんをかえてシミュレーションする」をクリックしましょう.
そして,右側の条件の中から「足首のやわらかさ(倍)」が見えるようにしてください.
そして,下の図のように,スイマーが足をひきつけているタイミングでアニメーションを止め,アニメーションの視点を変えて(アニメーション画面上でマウスを下向きにドラッグします),スイマーの上から見たところにしてください.
足首のやわらかさを変える
上の図のようにできたら,
「足首のやわらかさ」の値をためしに0.0にしてみましょう.
どうでしょうか?足が少し回転したことがわかると思います.
実は,この向きに足を自分で回転させることは,普通はできません.
できるような気がするかもしれませんが,
それは実は股(こ)関節(「また」の関節)からの回転です.
足首のところから,この方向に回転させることはできないのです.
今,やわらかさの値を0.0にしましたが,この足の角度が
普通の角度です.
しかし,実際のスイマーが泳いでいる画像を詳しく見ると,
やわらかさを1.0にしたときのように,
足がより開く向きに回転することが知られています.
これは,スイマーが水をキックする際に,水から力を受け,
その水の力によって,足が開くように少し回転しているのです.
平泳ぎのキックでは,足が開いた方が,より多くの水をけることができます.
そのため,この関節のやわらかさは,
平泳ぎにおいては大きな武器となります.
では,この関節のやわらかさでどれぐらい泳ぎが変わるか,
「スイム?スワム!スワム!」で見てみましょう.
値を0.0にして(足首がかたいとして),
「このじょうけんでシミュレーションする!」をクリックしてシミュレーションしてみましょう.
どうでしょうか?
泳ぎの速さが遅くなり,エネルギーの効率もずいぶんと下がってしまいました.
また泳いでいる姿勢もずいぶんと悪くなり,
おしりが沈んでしまうようになってしまいました.
このように,この関節のやわらかさによって,
泳ぎが大きく変わることがわかりました.
~ やってみよう ~
上の例では0.0だけでしたが,0.5や1.5などのそれ以外の値についてもシミュレーションしてみましょう.
また,できれば,関節のやわらかさを横軸にして,
泳ぎの速さやエネルギーの効率を縦軸にして,グラフにしてみましょう.